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室長日和(しつちょうびより)
平成30年3月~6月

2018年6月8日のもえぎ野の紫陽花。今年は例年より2週間ほど早めでした。

 もう今年も折り返し地点に来ています。室長日和の3回シリーズ「知らないことから生まれる誤解」、最初の2回までは調子よく行っていたのに、新年度始まってから日々バタバタしてしまい、3回目の「それで、私ってすごいのか?」でようやくシリーズ完結です。お待たせして申し訳ありません。

 通して読んでいただけるとよりわかりやすいかと思います。

 治療室から歩いて10分位のところに紫陽花スポットがあります。春は桜の前で、6月は紫陽花と一緒にいつも同じ場所で撮影します。

 7月以降も「室長日和」時々更新するはずですので(笑)どうぞよろしく。  

知らないことから生まれる誤解  その3 ~それで、私ってすごいのか?~

只今PC作業中。見えませんのでモニターを見る必要はないのです。イヤフォンから音声で聞きながら文章を打ちます。「岩石の岩、上下の下」というように。正真正銘の「ブラインドタッチ」

その次男は昨年洗礼を受けてクリスチャンになりました。我が家でたった一人のクリスチャンですが、多くの方との出会い、サポートがあってイエスさまを信じるようになったことは素晴らしいことだと思っています。

 長年通ってくださっている患者さんから時々言われることがあります。「エッ、先生って全く見えないんですか?」と。はい、私は今現在は明暗も認識できなくて、全盲です。その方いわく、「…だって部屋の中スイスイ歩いているし、パソコンだってパチパチやっているし…」と。まあそうですね、ここに一日中いますから、慣れですね。ただ、ひと度ちょっとした角度の間違いで壁の角に激突して額から流血…というのもしょっちゅうですが。

 見えている人にとって「見えない=盲人」なんて絶望的に思えるかもしれません。でも、確かに不便ではあるけれど何とかなるんです。人間の能力ってすごいと思います。

 音楽の世界を見てみれば、スティービー・ワンダー、ピアニスト辻井伸行、バイオリニスト和波孝禧…世界的な方はたくさんいます。和波さんはかつて「目が見えないのに世界的なバイオリニストになれたなんてすごい!」と好奇の目で見られることがとても嫌だ!と話されていました。私には和波さんの気持ちがとてもよく分かります。そこには彼の類まれない才能や、人並み以上の努力を無視されたような響きを感じるからでしょう。

 次男が私立中学校を受験した際、家族面談があって次男が面接官にこう尋ねられました。「あなたのお父さんは目が見えないわけだけど、あなたにとってどういう存在ですか?」次男は困っていました。答えに窮してしまいました。面接された先生がどういう答えを期待したのかわかりませんが、次男にとって父親は生まれたときから目が見えないわけで、「見えないから、大変だから助けてあげよう」なんて気はさらさらなくて、当たり前に手を引いてくれていたし、手伝っていました。で、次男の答えは「別に…ふつう」でした。

 私が鍼灸の世界に生きがいを感じるのは「見えるVS見えない」なんてのは全く関係ないからです。感性や技術を磨けば磨くほど治療の幅が出て面白い。この世界に出会えたのは目が見えなくなるとわかってからのことなので、今は「目が見えなくなってよかった」とさえ思います。

 次男が言うように私は「ふつう」なんです。多くの人がそう思ってくれれば「障害者理解」なんて言葉もいらないでしょう。

 障害が有る無しだけでなく、人種や宗教、国籍…目をつぶってみるとみんな同じことに気づくでしょう。いつの日かそんな世の中になるといいと思っています。

 

 

知らないことから生まれる誤解  その2  ~結婚、大いに反対される~

1993年7月長男誕生。今は亡き妻の両親も病院に駆けつけてくれました。

 妻とは私がかつて勤めていた盲学校(現:横浜市立盲特別支援学校)で知り合いました。同じ年に採用されたので、初任者研修などで話したりするうちに親しくなりました。私は当時30代前半で、視力も少しありましたが白杖を使用していて、障害者手帳も持っていました。

 結婚することを決めた時、私の親は手放しで喜んでくれましたが、彼女の方は違いました。

 当時「結婚したい人がいるんだけどね、盲学校の同僚で…」ここまではよかったらしいのですが「目が見えなくなる病気があって近い将来全く見えなくなるんだけど…」と言い始めたら彼女のご両親の表情はみるみるこわばったようです。彼女も予想はしていたようです。「ちょっとめんどくさい相手だな」と。

 そこから猛烈な反対攻勢がありました。「子どもに遺伝するかもしれない(劣性遺伝なので可能性はあります)二人だけが良くても子どもが不幸だ」とか「色々苦労するに決まっている」などなど…。眼科の診断書も作りました。

 妻の方は意外とあっけらかんとしていましたが、勤め先の先輩の先生に相談をした時「とにかく通うことね、しつこく。そのうち、「見えない」ことに向こうが慣れて、人柄に目が行くようになるから」と入れ知恵されて(笑)、横浜から彼女の実家のあった静岡にほぼ隔週で通いました。 

 彼女の両親も「障害のある人を差別するのはよくない」ということは頭ではわかっていて表面上は普通に接してくれましたが、やはりどこかぎこちなかったのを記憶しています。

 何回通ったかは覚えていませんが、彼女のおばあさんの家に行った時、たぶんご両親は反対してくれるものと思ったのかもしれませんが、「なんだ、いい人じゃないか!」といきなり言ってくれて、そこから風向きが変わってきて、まあなんとか結婚できることになりました。

 ずっとあとで彼女のお母さんから聞きましたが「目が見えない人=座頭市みたいな人」というイメージだったようです。勝新太郎さんは名優ですが。

 それからというもの「何だ普通に何でも出来るじゃん」と驚きと同時に安心もしてくれて、孫の誕生を心から喜んでくれました。もう四半世紀前のことです。

 自分の身近に障害をもつ人間がいないとどう接してよいのか多くの人は戸惑います。でも、「人」として接すればその「戸惑いバリア」はなくせると信じています。

知らないことから生まれる誤解  その1 ~大学院受験を断られる~

長男が小学校低学年、次男は幼稚園入る前です。私も若かったですね。

 もう15年くらい前のことです。私は横浜市神奈川区にある横浜市立盲学校(現:盲特別支援学校)の理療科の教員でした。

 もともと心理学に興味があったのですが、臨床心理を学びたくて盲学校での仕事が終わってから通える夜間の大学院を探しました。都内の某大学院を見つけ、そこは臨床心理士の受験資格も得られるので、大学院受験について問い合わせをしました。

 たぶん、大学院側が視覚障害者の受け入れが初めてだったのでしょう、「一度お話を伺いたいので大学にいらしてください。」と言われたので、当時子どもたちも小さかったし、盲導犬もいませんでしたから、有償のガイドヘルパーさんを手配して、六本木の大学院まで行きました。

 だいぶ記憶も薄れましたが、大学の教官としばらく話しました。通学のことや点字受験のこと、授業の受け方など話したと思います。

 数日後、入試担当の課から電話がありました。

「本校は校舎も古く、エレベーターなどの設備がなく、バリアフリー化がなされておりませんので、入学されても十分に対応することができません。受験をお断りさせていただきます。」

 こんな内容でした。私が在籍した中央大学には車椅子の学生もいたし、妻が在籍した国立音大にも視覚障害の学生もいたので、「今さらそんなこと」言われるとは思ってもいませんでした。この大学院では、社会福祉系の専攻もありましたし、ハンディーを持つ者に対する理解は普通にあると思っていたので。

 ショックと言うよりも、「ここで学んでもなあ…」という思いが強くなり、結局受験を断念しました。

 「バリアフリー化」とは何でしょう?当時私は白杖を使用して歩いていました。当たり前ですが階段も一人で上り下りできます。何より、大学まで電車を乗り継いで行ったのですから。通うとなったらヘルパーさんや家族の手助けを借りれば可能でした。黒板の字は見えないけれど、音声パソコンや、録音機材をフル稼働で授業は支障なく受けられたはずです。

 私にとっての「バリア」とは、例えば校内だったら、どこが教室で、トイレで、ここが段差で、ここが階段で…そういった視覚からの情報がないので困るということです。障害のあるものにとっての「バリア」は一人ひとり違うので、その人が必要としている手助けをすることが大切なのです。

 今にして思えば、もう少し粘って、何がなんでも入学して、その大学院の先生方に「何だ別に平気だったね。」と学習させてあげるべきでしたね。残念なことをしました。

 

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